14Nov
産休に入ると、働いていた時とは違い給料が出なくなることがほとんどです。そんな時に給料の代わりの収入源になるのが出産手当金ですが、これは誰でももらえるというわけではないのです。「出産手当金」という制度があるのは知っていて、なんとなくわかるけど、「いくらもらえるのかわからない」など、よく理解していない方もいるでしょう。
また、出産手当金は「退職したらもらえない」「申請すればすぐに受け取れる」など、勘違いをしておられる方も多いように思います。そこで、今回は出産手当金について詳しく説明したいと思います。
目次
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出産手当金ってどんな制度?
出産手当金とは仕事をしているママの、産休中に給料の代わりに収入を支援してくれる制度です。産休中は給料が出ない会社がほとんどです。なのでこの制度を利用することで、産休中に収入がなくなっても、その間の生活を支えるための出産手当金が健康保険から支給されます。この制度は産休後も仕事に復帰するママがもらえる手当です。
なお、産休とは、出産日を含む産前休業42日と、出産翌日からの産後休業56日間を合わせた98日間を指します。産休について詳しくは、産休の期間はいつから?育休との違いは?の記事を参考にしてください。
どんな人がもらえるのか?
会社員・公務員・パート・アルバイトで勤務先の健康保険に加入している人が対象です。ポイントは、勤務先の健康保険に加入していれば、正社員に限らず、契約社員・パート・アルバイトの人も対象になるということです。また、産休中に会社から給料の一部が支払われている場合、出産手当金は差額分だけが支払われます。ただし、産休中に給料が3分の2以上出る場合は出産手当金はもらえませんので注意が必要です。
逆にもらえない人はというと、専業主婦・自営業・パート・アルバイトなどの国民健康保険に加入している人です。もらえるのはあくまで、勤務先の健康保険に加入しているパート・アルバイトの人なので、混同しないように注意しましょう。
出産手当金の支給期間
出産日をはさんで産前42日(多胎の場合は98日)から産後56日までの範囲で支給されます。産前とは出産当日を含むので、出産日を含めた42日間が産前ということになります。産後とは出産日の翌日からの56日間になります。
予定日より出産が早くなると、産前休業が短くなり、予定日より出産が遅くなると産前休業は長くなります。そのため、出産した日によって産休日数が変わるので、出産手当金の金額も変わります。
いくらもらえるの?
日給の3分の2×産休した日数分が申請するともらえる額になります。
<計算方法>
月給÷30=日給
日給×2/3×産休した日数=もらえる額
<例:月給が20万円の場合>
まずは日給を計算します。
20万円÷30=約6,670円(日給)
次に約6.670円(日給)を上記の計算式に当てはめてもらえる額を計算します。
6,670円×2/3×98日(産前42日+産後56日)=約43万5800円
あくまで目安ですが、出産手当金として43万5800円もらえるということになります。
※日給を算出するときの基になる「月給」は、基本給の他に、各種手当、残業代や交通費などを含んだ総額(標準報酬月額)のことをいいます。このため残業代などの毎月変動する手当ての場合は各月の総額が変わってきます。このため毎年4月、5月、6月の3ヶ月間を平均した1年を通しての標準報酬月額としています。
申請の方法
出産手当金の申請方法の流れとしては、「産休前に申請用紙をもらう」→「産後産院で必要事項を記入してもらう」→「産後57日以降に会社に提出」です。では詳しく見ていきましょう。
1. 産休に入る前に会社の健康保険窓口または会社を管轄する協会けんぽや健保組合で出産手当金の申請用紙をもらいます。
2. 赤ちゃんが産まれたら担当医または助産師に必要事項を記入してもらいます。このとき文書料がかかる場合があります。忘れないために、入院するときは申請用紙を持っていくようにしましょう。
3. 産後57日以降に医師または助産師に記入してもらった申請用紙を会社に提出します。会社の健康保険担当者または協会けんぽ、健保組合窓口へ提出しましょう。
退職しても出産手当金がもらえる場合
原則として、出産手当金がもらえるのは産休後も仕事に復帰するママが対象ですが、家庭の事情、その他いろいろな事情により、やむなく退職せざるを得なくなった方もいるでしょう。こういった理由から退職した人でも以下で説明する条件に当てはまれば、出産手当金がもらえる場合があります。
1. 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間がある場合。ただし、健康保険任意継続の被保険者期間は含まないので注意してください。
※以前は、健康保険を任意継続された方や、退職後6ヶ月以内に出産した方も給付の対象となっていましたが、現在は給付の対象ではなくなっているので注意しましょう。
2. 資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること(退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないので注意)。つまり産休中または産後に退職することです。
この2つの条件を満たしている人が対象です。
有給休暇を使い産休中に退職する場合は、有給休暇の間は、会社から給料が支給されていることになるので、その間の出産手当金はもらえません。その場合、退職日の翌日以降の分が受給されることになります。
申請からもらえるまでは遅い
出産手当金は申請してもすぐにもらえるわけではないので注意が必要です。通常、申請してから出産手当金がもらえるまでには、1~2ヶ月かかります。場合によってはそれ以上かかることもあるようです。なので、出産手当金を当てにしてあれもこれも買っていると、のちのち後悔することになります。そうならないためにも、買い物するときは無理のない範囲でするようにしましょう。
また、毎月の給料日に振り込まれるわけではないので、出産手当金を生活費に当てようと思っておられる方も注意してくださいね。
今後のために貯金する
赤ちゃんが産まれると、必要な物が増えるので、当然その分の出費が増えます。物だけに限らず水道代や電気代など光熱費等も、2人のときより料金が上がります。また、早期から教育をしようと考えている家庭では教材費などもかかります。これらは決して安くはない金額なので、今後のためにお金を貯めておかないと、資金不足になる可能性もあります。
出産手当金は、今後のことを考えて、必要な物だけをそろえて、後は貯金しておくというのも一つの方法だと思います。
傷病手当金は受給できるか?
傷病手当金とは、病気やケガで連続4日以上休んだ場合に、本人やその家族の生活を保障するため、給料の3分の2が支給される制度です。では、産休中に病気やトラブルで入院しなければならなくなり、傷病手当金の支給条件を満たした場合に、出産手当金と傷病手当金を同時に受給することができるかというと、そうではありません。この場合、出産手当金が優先されるため、傷病手当金は支給されないのです。仮に、傷病手当金が支給されてしまった場合には、その分だけ出産手当金が調整されます。つまり、出産手当金の総額が減ることになります。
また、すでに傷病手当金を受給している時に出産手当金が受けられるようになった場合は、傷病手当金の支給はいったん停止されて、出産手当金の支給が終わった後に、傷病手当金が支給されることになります。
まとめ
出産手当金の制度をよく理解していないと「退職した場合」などのように、本当はもらえる条件を満たしているのに、損をしてしまうこともあります。また、先ほど説明したとおり、申請してもすぐに出産手当金が振り込まれるわけではないので、産休中のお金の使い方には十分注意しましょう。
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